社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
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 社長が出ていって一週間。私は仕事をしながら少しずつ準備を進めていった。

 会社から帰ってきてからインターネットを舐めるように見て部屋を探し、すぐに動けるように私物をダンボールに詰めていく。幸い、根を下ろして生活する前だったから、荷物はそんなに多くない。

 土曜日の午前中、あらかた片付けた部屋を見回して、私はらせん階段を下りた。

 社長がいない部屋は静かで広くて、どことなく冷たい。

 玄関脇に重ねたダンボールとボストンバッグを見て、苦笑した。私も新庄さんが持っていたみたいな素敵なスーツケースがほしいな。社長とおそろいの……。

 ふっと息をついてキッチンに向かい、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出す。

 このままお盆休みを利用してこの部屋を出るつもりだった。

 社長とは顔を合わせないままになるかもしれないけれど……仕方ない。

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