社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 ぽかんとしている私の脇を通り過ぎ、新庄さんと社長は洗面所に向かっていく。

 いったい何……?

 わけがわからないまま、私は笑顔で戻ってきた新庄さんとキッチンで惣菜パックの蓋を開けた。

 当の彼女はいつにもましてご機嫌そうだ。パックから中身を皿に移し替えながら鼻歌をうたっている。

 彼女を手伝いながら複雑な気持ちになった。好きな人と、好きな人の好きな人と一緒に食卓を囲むって……。

「で、あの荷物はなんだ?」

 ひとり掛けソファに座った社長は、器にきれいに盛られた色とりどりの料理には手を付けず、長い脚を組んだ。

「いや、あの」

 言い淀むと鋭い視線に射抜かれる。

 ダメだ、社長相手に変なごまかしは効かない。

 新庄さんと並んでソファに座りながら、私は箸をテーブルに置いた。

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