いちごキャンディ×ブラックチョコレート
「お疲れ様です」


定時後、ビル1階の正面玄関で仁科さんと待ち合わせている。

彼女を待たせる訳には行かないというのもあるけれど、このまま仕事を続けられるほどの集中力は私にはなかった。

だから、早々にパソコンの電源をオフにし、帰る身支度をしていた。


「楢本」


振り返るまでもなく誰が私を呼んだのか分かった。


「……慎さん」


昨日の告白を受けてから初めの会話、と言うより今日初めての会話。


「ど、どうしたんですか?」


平然を装って会話を返す。


「今日ってなにか予定あったりする?」

「え」
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