いちごキャンディ×ブラックチョコレート
もうこんなに時間が経っていたのか。

さすがにこれ以上長引くと、あいつら仕事もしないでサボりやがってと周りから冷たい目で見られてしまう。


「戻りましょうか」


私がそう言うと、彼女はハイと元気よく挨拶をした。

ちょっと意外。

思ってたよりもあっさりと身を引く人なんだな。

あの興味の持ちようは根掘り葉掘り聞かれるものだと思ってたいたけれど。

そんなふうに思っていた私だが考えが甘いことにすぐ気がつく。


「楢本さん、今日の定時後予定あります?」


あ、これ、定時後に根掘り葉掘り聞くパターンだ。

今日断わっても聞くまで私を誘い続けるだろう。

そんな雰囲気が彼女からは漂っていた。

なので私は断らなかった。

あの場面も見ていることもあるし、他の人からの意見も聞きたかった。


「特にないです」


私は彼女の目を見てそう答えたのだった。
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