いちごキャンディ×ブラックチョコレート
「お先に失礼します」


午後3時。

依織を迎えに行くためにオフィスをあとにする。

エレベーターを待っていると背後から「お疲れ様です」と声をかけられた。

振り返るとそこには汐理さんがいて、汐理さんも手にカバンを持っている。


「お疲れ様です。お帰りですか?」

「ううん。これから客先。そういう依知子は?」

「私は今から弟を迎えに」

「弟?」

「はい。就職活動の一環でこっちに来るので」

「なるほどね」


エレベーターが来たので2人して乗る。

恐らく向かう先は途中まで一緒だ。

話すこと自体久しぶりでもなんでもないのに、少しだけ緊張する。

多分、こうやって2人きりになることがなかったからだと思う。
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