いちごキャンディ×ブラックチョコレート
「気休めだけど」


涙が出なくなってから暫くして、槇さんは自動販売機で買ってきた飲み物を私に手渡す。

これで目を冷やせということだろう。

目に飲み物を当てるとヒンヤリと気持ちよく、腫れが引くような気がした。


「一応今23時過ぎているんだけど、帰れそう?」

「23時!?」


定時頃に進藤先輩から話を聞いたから……あれから5時間以上経っていたというの?


「ごめんなさい。巻き込んでしまって」

「ううん」

「帰れるとは思うんですが……」


お酒を飲んだわけじゃないので足取りはしっかりしているのだが……。


「その顔で帰るのは勇気いるよな」

「は、はい」


ひどい顔をしているのは自分でもわかっている。

今更だけど槇さんの前でも晒したくないなかった。
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