いちごキャンディ×ブラックチョコレート
やっぱり呼ばれるの嫌だったんだ。

言ってしまったことはもう取り消せない。

だから私は言い訳の言葉を頭の中でたくさん並べる。


「何この破壊力……」

「ご、ごめんなさい。嫌ですよね。だから」

「いや、呼んでくれると嬉しい。依知子に名前で呼ばれたい」


嬉しい、呼ばれたい。


その言葉が頭の中を駆け巡り、フワフワとした気持ちにさせる。


「じゃ、じゃあ。汐理さん」


満面の笑みで返事をする汐理さんを見ると、言ってよかったと思った。
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