流星サイダー
バレンタイン当日は
降り注ぐ太陽の光が、眩しいくらいの晴天だった。
あたしはどこか浮ついた気持ちで
ラッピングされたチョコレートを見つめる。
ピンク、だなんて
やっぱりさすがに恥ずかしくて
ラッピングは淡いオレンジ色にして。
中身はもちろん、チョコレート。
だけど、チョコのまんまだと
壱星は確実に食べてくれないだろう、と思い
少し思考を変えて、トリュフにしてみた。
ふふ、と笑いが零れる。
そしてそれをカバンに押し込んだあたしは
勢いよくローファーに足を通し、玄関の扉を開けた。
「行ってきまーす!」
「流璃、朝ごはんはーっ!?」
「いらなーい!」
追い掛けてくるママの声に
振り返らず返事を投げる。
通り過ぎる、壱星の家。
だけど、今日は何だか全部が輝いて見えて。
何も知らない壱星を思うと
思わず、歩くリズムも軽快になった。
“ごめん”なんて、必要ない。
このチョコさえあれば、仲直りなんて
きっと簡単だ。
そう思うと、無意識のうちに緩む顔で
あたしは学校への道のりを歩いた。