お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
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ほうれん草と玉子のふんわり焼きにじゃこ納豆。今朝は味噌汁の代わりに野菜とベーコンの和風トマトスープにしてみた。
作った朝食をテーブルに並べていると、ワイシャツに着替えた修矢がダイニングに現れた。手にしていたジャケットを椅子にかけ、「おはよう」と千花に声をかけてくる。
さっきのキスのことと、自分の中に訪れた気持ちの変化のせいで、千花の目が泳いだ。修矢を妙に意識してしまう。
「……お、おはようございます」
しっかりと修矢の顔も見られずに挨拶を返した。
「朝食の前にちょっといいか」
修矢はそう断ってから、封筒をテーブルの上に滑らせる。
いたって普通。さっきのキスは幻覚だったのかと思うような態度だ。
千花は、それがなんだか少し寂しい。
「俺は記入してある。あとは千花のサインだけだ」
いったいなんだろうかと思いながら封筒の中に手を入れる。薄い用紙を引っ張り上げたところで、それがなんであるか千花にもわかった。
婚姻届けだ。