お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
修矢のサインはもちろん、すでに証人の欄も埋められていた。ひとりが修矢の父親の名前で、もうひとりはなんと千花の父親である幸助のサインだった。
「いつの間にお父さんから……?」
「昨日、ハートウエディングに行く前にわたせキッチンに寄ったんだ。結婚準備でバタバタしているから早めに用意しておいた方がいいだろうと思ってね」
「そうだったんですね」
式の準備やらなにやらで忙しく、肝心の婚姻届けにまで千花は気が回っていなかった。
修矢がそんなことに気がついた驚きと、婚姻届けを初めて目にした感動で千花が呆然としていると、修矢から万年筆を手渡された。
「今、ですか?」
「もちろん」
さすがは修矢。やると決めたことは、とことん早くやってしまう。
千花は息を大きく吸い込み、ゆっくりと吐き出す。式本番というわけでもないのに緊張するから不思議だ。
万年筆のキャップを外し、いざ婚姻届けに立ち向かう。かすかに手が震えているのが自分でもわかり、それがまた千花の気持ちを張りつめさせた。