お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
◇◇◇
大きな弁当箱を抱えて千花が久城総合病院へやって来たのは、昼まであともう少しという時間だった。
巨大な白い建物のエントランスをくぐり、千花はそこで足を止める。
(私、どこへ行けばいいんだろう)
この病院は千花が幼い頃から何度もお世話になっているところ。当然ながら来たことは何度もあるが、診察以外では初めて。
しかも医師に直接会うとなると、どうしたらいいのかわからない。
診察中であれば電話にも出られないだろうし、忙しい病院関係者にわざわざ声を掛けるのもできれば避けたい。
(修矢さんは小児外科医だから、とりあえず小児科の方に行けばいいんだよね?)
不安な気持ちになりながら、頭上の案内表示板を頼りに足をゆっくりと進めていく。混雑している総合受付の前を通り過ぎ、向かうは三号館。
しばらく廊下を歩くと、急に病院の雰囲気ががらりと変わる。カラフルな風船の絵が壁に描かれ、とても明るい雰囲気だ。
千花が子供のときもそうだったのかは記憶にないが、きっと子供向けにそうしているのだろう。
赤ちゃんの泣き声や子供の声が聞こえたかと思えば、小児科の広い待合室に出た。子連れじゃない千花は場違いな感じだ。