お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「もうっ! やめてください!」
「やめてくださいって、興味津々で聞いてきたのは千花ちゃんだろう?」


クククと一樹が肩を震わせる。どうやら一樹も修矢と同じく、意地悪なところがあるらしい。
千花は頬を赤らめながら助手席で小さくなった。


「さて、気持ちが解れたところで。その大きな荷物はなに?」
「あ、これは……お弁当です」
「弁当? もしかして修矢に作ったの?」


重い頭を項垂れるようにして千花が頷く。


「そんな千花ちゃんが、どうしてあんなところに? 病院に行く道を間違えた?」


軽やかな音を立てて笑う一樹に、千花はつい訴えるような目を向けた。


「……なに、もしかして修矢とケンカしたのか?」


千花が押し黙ると、「図星か」と一樹はさらに笑った。

きっと他愛のない夫婦喧嘩だと思っているのだろう。でも違う。痴話喧嘩とはわけが違うのだ。

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