お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
(一樹さんなら、なにか知っているかもしれない。だって兄弟なんだから)
千花はふと思った。
「一樹さん、ひとつ聞きたいことがあるんです」
「そんなに思いつめたような顔してどうした」
チラッと横目で千花を見た一樹は、明るい調子で聞き返した。
「優奈ちゃん、ってご存知ですか?」
「……優奈?」
思い切って尋ねると、一樹は一瞬考えてから名前を呟いた。
「そうです、優奈ちゃん。五歳くらいの女の子なんですが」
一緒にいた母親と同じようにサラッとした綺麗な髪が印象的だった。
「……あぁ、優奈ちゃんね。それがどうした?」
一樹の顔が曇ったように見えたのは気のせいか。
千花の身体が一気に強張る。