お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

約二十分後。タクシーを降りた千花が実家のマンションのドアを開けると、「千花? 千花なの?」と美幸が弾かれたように飛び出してきた。
いったいなにごとかと千花が目を見張る。


「ちょっと千花、いったいどこをほっつき歩いていたのよ!」
「……なにかあったの?」
「なにかあったのじゃないでしょ! 修矢さんが、昼から千花と連絡が取れないって。あなた、携帯はどうしちゃったの」


ものすごい勢いで美幸に言われ、バッグの中を漁る。

(……あ、ない。私、マンションに置いてきちゃったんだ)

千花は家を飛び出してから今まで、まったくそのことに気がつかなかった。


「修矢さんに、千花はここにいるって連絡しなくちゃ」
「待って!」


エプロンのポケットからスマホを取り出した美幸を慌てて引き留める。千花は急いで靴を脱いで上がり、美幸の手を掴んだ。


「……待ってって、なに言ってるのよ。修矢さん、心配してるじゃない」

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