お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「慣れない格好はするもんじゃないぞ」
「えっ……あ、はい……」
その点については千花も返す言葉がない。慣れていないのは事実。着物は成人式以来なのだ。
修矢はぶっきらぼうに言いながら、片方の口角だけを上げた。
「で、でも、とにかく下ろしてください! 歩けますから!」
見合い当日にキスを済ませ、相手にお姫様抱っこされる女性は前代未聞だろう。なによりも、自分の体重が気になって仕方がない。着物を着ている分、いつもより重いのだから。
「お願いですから!」
修矢に抱かれながら千花がジタバタともがくが、修矢に効いている様子はない。涼しい顔をして、よろけることもなく足を進める。細身に見えるのにがっちりしている胸板を感じて、千花の頬がどんどん熱くなる。
「少しおとなしくしてくれないか。そうでなけりゃ、もう一度その口を塞ぐしかなくなるぞ」
「ふ、塞ぐって!」
既成事実があるだけに、修矢ならば本当にやりかねない。さっきのキスを思い出して、千花は頭から今にも火を噴きそうだ。