お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
修矢はそんな千花の反応を見て、どこかおもしろがるように少しだけ目を細めた。
悔しかったが、これ以上騒いでは余計に目立ってしまうと、千花はおとなしくその腕に収まる。
痛い思いをしながら歩かずに済んだ半面、ホテルの中を行き来する人たちから好奇の視線を投げかけられてしまった。その中には女性から修矢に向けられる熱いものが混じっていて、千花の肩身を狭くする。
修矢が人を惹き付ける容姿の持ち主なのは、千花も認める。でも、それだけだ。態度は素っ気ないし、眉間に皺を寄せた仏頂面。いくら顔面偏差値が高いからといって、性格が伴わなければ宝の持ち腐れだろう。
「借りたままになっている傘を車に積んであるから家まで送る」
そういえばそうだった。店で千花の置き傘を貸したきりになっていることを思い出した。
「でも、父と母が」
三人一緒にタクシーで乗り付けたのだ。どこかで待っているかもしれない。
「おふたりは、うちの親父の車で送ることになってるから心配いらない」