お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
いつの間にそんな話になっていたのだろう。それならそうと、ひと言伝えておいてくれればいいのにと千花は密かに口を尖らせた。
煌びやかなロビーを抜けてエレベーターホールへ着くと、ちょうどホテルのスタッフがいて、扉を開けて待ってくれる。意味ありげな笑顔に見えるのは、千花の勝手な妄想か。千花は目線だけで会釈を返した。
地下駐車場に止められていた修矢の車は、庶民の千花でも知っている高級セダンだった。パールホワイトの車体は鏡として使えそうなほどピカピカに磨き上げられ、格の違いを見せつけられたような気になる。
(ほら、やっぱり釣り合わない)
そう思わずにはいられない。幸助が乗っているのは、お手頃なコンパクトカーだ。
車の脇で下ろしてもらった千花は、「すみません、ありがとうございました」と素直に頭を下げ、ドアを開けてもらった助手席に乗り込んだ。と同時に、修矢が千花の足もとにかがみ込む。
なにをするのかと思って見ていると、修矢は突然、千花の草履と足袋を脱がせ始めた。
「えっ!」
「見せてみろ。これでも一応医者だ」
とっさに引っ込めた足は、修矢に強く掴まれた。