年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「急遽人を探さないといけなくなってしまって。のんびりと仕事をしている気分じゃないんです」
もっと上手な嘘を吐けよ…と思うが、どうにも焦り過ぎてしまっている。
城島さんは唖然としたのか声も出さず、俺の言葉を黙って待っているみたいだったが__。
「……女か?」
勘のいい彼は俺の焦りを感じ取ったのか、ボソッと訊き返してくる。
渋るように、俺は「ええ」と呟き、「本当に申し訳ないんですが」と付け足した。
こんな風に仕事を放棄するなんて、北芝電気に入ってから初だ。
もしも、これでクビにでもなったら、その時は望美と二人で海外暮らしをしてもいいか…と考えてしまった。
(もういっそ、その方が気が楽になるんじゃないのか。目の前の嫌なことから解放されて、俺も望美も楽に生きれるんじゃないのか…)
そんなことを思いながら城島さんの返事を待つ。
さほど長い時間ではなかった筈なんだが、思考が逸れるくらいの間は空いていたようだ。
「……まあ、いいんじゃないか」
電話の向こうから聞こえてきたのは、のほほんとした城島さんの声だった。
もっと上手な嘘を吐けよ…と思うが、どうにも焦り過ぎてしまっている。
城島さんは唖然としたのか声も出さず、俺の言葉を黙って待っているみたいだったが__。
「……女か?」
勘のいい彼は俺の焦りを感じ取ったのか、ボソッと訊き返してくる。
渋るように、俺は「ええ」と呟き、「本当に申し訳ないんですが」と付け足した。
こんな風に仕事を放棄するなんて、北芝電気に入ってから初だ。
もしも、これでクビにでもなったら、その時は望美と二人で海外暮らしをしてもいいか…と考えてしまった。
(もういっそ、その方が気が楽になるんじゃないのか。目の前の嫌なことから解放されて、俺も望美も楽に生きれるんじゃないのか…)
そんなことを思いながら城島さんの返事を待つ。
さほど長い時間ではなかった筈なんだが、思考が逸れるくらいの間は空いていたようだ。
「……まあ、いいんじゃないか」
電話の向こうから聞こえてきたのは、のほほんとした城島さんの声だった。