年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
それを聞いて輝がボソッとこぼしたんだ。


「いいなぁ。そういうクリスマス」


憧れだなと微笑んでいる彼の顔を見つめ、筒井君の家はどうなの?と聞いた覚えがある。
彼は私に向き直ると、うーん…と困ったような表情を浮かべ、直ぐに前に向き直ると教えてくれた。


「……俺の家では、買ってきたケーキとチキンがテーブルに並んでるくらいだよ」


母の手料理なんて全くないと呟く彼の横顔が寂しそうで、つい訊いてはいけないことを口にしたんだと反省させられた。


「あの…ごめん、…ね」


謝りながら彼のコートの袖を摘み、振り向いた彼が泣きそうな目をしてるから胸が痛くて。


「……俺、この間からずっと言ってるけど、望美と付き合いたいんだよね」


そう言って顔を寄せてくるから、何となく避けきれなくて。
そっ…と触れ合ってくる唇が冷たく乾いていて、彼の心も同じ様に乾ききってる様な気がした__。


「…うん。私で良ければ、付き合う…」


そう言って深いキスをしたんだ。
初めて交わしたキスの温もりが忘れられなくて、時々二人で訪れていた場所だった__。


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