年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「……ところでなぁ…そろそろ君の相手を紹介してくれてもいいんじゃないのか?」


娘のことはもういいから…と言い出す父親に呆れ、女性はガタンと立ち上がる。


「私、失礼致しますっ!」


ムカッとした様子でそう言うと、スタスタと大股で歩き去る女性。
土井社長は、「短気な娘で…」と情けなく微笑み、ちらりと私に目を向けた。


「君は可愛いお嬢さんだね。お名前は?」

「えっ?あの」


可愛いお嬢さんとか言われる年頃でもないんだけど…と気後れした。上目遣いに輝を見返すと微笑んでいて、返って頬の温度が上がってしまった。


「あの……私、小嶋望美…と申します」


すごく緊張しながら名前を発し、ぎゅっとスカートを握り締める。


「そうか、望美さんだね」


土井社長は私の名前を復唱すると輝の方へと振り向き、家庭的で優しそうな感じのする人だね、と誉めた。


「そうなんです」


自信満々に輝が胸を張る。
だから、私はまた顔が熱くなった。


「君のことを幸せにしてくれそうな人で良かった。俺の案じてた人生にはならずに済みそうだと思えてきたよ」


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