年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「あの……」


自宅の住所を告げながら、私は頭の中で両親のことを考えた。

輝の提案に父が素直に乗ってくれれば言うことはないけれど、変なプライドを振りかざして、折角の申し入れを断ったりしたらどうしようか。


(そもそも、どうしてうちの家計のことを彼が知っているんだと問われたらどうする?郁がそこに居ればいいのかもしれないけれど、万が一居なかったら…)


ラインで連絡して家に居て…と釘を刺しておくべきだろうか。でも、隣には輝もいるのに、それは少しし難い。


「お父さん達には初めて会うんだけど、手土産とか用意しなくて良かったかな」


しまった…と呟く彼に目を向け、平気…と告げる。
 
きっとどんな手土産よりも驚くものを持って家に帰るんだもん、他の物なんて、何も必要ないと思う。でも……


(…ねぇ輝、私達これからまた一波乱あるのかな)


先を思うと不安しかない。
だけど、輝の出してきた提案は、確かにうちの家計を助けることには繋がるかもしれない。


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