年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
一体何の為に会ったんだろう。
前の仕事と、何か関係があるんだろうか……。


悶々と届いたカクテルを飲み干しながら考え事に耽る。
私が何も言わずにいることが幸いらしく、輝も何も言わずにビールを黙々と飲んでいた。


部屋に帰ると、ルームライトの明かりに照らされた自分の姿が大きな窓辺に映る。
後ろからやって来る輝の姿も映り、私はそれを見つめ、軽い溜息を吐き出した。


輝の格好はネクタイも結んでないのに、きちんと正装した様な雰囲気に仕上がってて素敵だ。

それに引き換え自分の格好はアンバランスで、レストランへ行くというので一応ワンピース風に見えるツーピースを着ているけれど、ニット素材でどこかヨレている。


(輝と比べて笑われたのかな)


さっきの女性のことを思い返した。
彼女は私と彼の格好が不似合いだと思い、鼻で笑ったのではないか。


(ニットなんて、ハウスクリーニングで着回してるもんな)


だから何処か着崩れた感があるのかもしれない。
あんな高級そうな服を着る人達には、あっさりと安物を見破れる力があるのかも。


(輝に恥をかかせてしまった…?)


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