年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
ジィッと見つめる様な仕草で顔を覗かれ、ドキドキと心臓の音が速くなる。
膝の上に置いている手の平にもじんわりと汗をかいてきて、ぎゅっとそれを握りしめると、鼓動を弾ませながら声を発した。


「わ、私…」


輝との出会いを思い出して、それから二人で定期的に飲み会をやるようになった日々のことを思い返した。


「私達は…付き合い初めて、丸三年が過ぎました」


意を決したように話すと、顔を覗き込んでいた相手の顔が離れていく。


「……ほぉ。そんなに前から」


感心した様な、少しビックリした様な口調だ。
私はそう言われると他に言葉が出せなくなり、唇を噛むと黙って顔を俯けた。


カップを手にした相手は、少し自分を落ち着けようとしているのか、ゆっくりと味と香りを愉しむようにしてからソーサーの上に置き直した。


「……それで、輝は今後、貴女とはどうするつもりだと言っているんですか?」


三年も付き合っているのだから、当然先のことも話し合っている筈だと思ったんだろう。

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