無現実 名の知れた月
「あはは! 強いみたいだからもういいの。それじゃあ、大丈夫そうだから今すぐあの世に連れてってあげる!」

鬼気から身の毛がよだつ気配がした。

鬼気は姿を消し名月はあたりを見渡す。鬼気の妖力が強く鬼気の居場所が分からなくなってしまった。
辺りの景色が歪み、ふらついた。周りが暗くなる。
名月は頭が重く感じ手をおでこにつけた。足が地につかなくなるような気持ち悪さを感じて地面に膝をつき、左手に違和感を感じ見ると鉈がなくなっていた。

「何このひどい錆・・・全然抜けないんだけど」

鬼気の声が聞こえた。顔を上げると目の前に鉈をもって抜こうとしていた。

鬼気と目が合う。

「・・・えっ? 見えるんだ?」

鬼気は意外そうな表情をした。
意識が遠のいてくなか、鬼気の言う言葉に納得を感じた。

鬼気は嬉しそうに笑った。

「気づくのが早いね。それじゃあ、おやすみ!」

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