3秒後、きみと恋がはじまる。
渡り廊下を2つ渡って足を踏み入れた特進科の校舎は、同じ構造をしているけれど、いつもいる普通科とは全く違う世界みたいだ。
…なんて、考え過ぎかもしれないけれど。
なんだか頭が良さそうだなーなんて、本当にアホみたいな感想を頭に浮かべながら茜くんを探す。
何組だったかな、聞いておけばよかった。
とりあえず2年生のクラスを端からのぞいてみるけれど、なかなか見つからない。
「あ、有村くんだ」
「今日も格好いい〜!」
と。隣のクラスからそんな声が聞こえて、慌てて隣のA組を覗く。
ふわっとした黒い髪。
細身の高身長。
紺のカーディガンにきちんと着た制服。
遠くから見ても格好いい茜くんに、思わず頬が緩む。
遠巻きに見つめている女の子たちの視線を物ともせずに、友達と話しながら自分の席についた茜くん。
やっぱりクールだ。
ドキドキうるさい心臓に気付かないふりをして、茜くんの席に近づく。
こっちを振り返った彼と目が合って、ドクン、ともう無視できないくらいに心臓が跳ねたのがわかった。
怪訝な顔で私を見る茜くん。
「なんでいるの」って、口に出さなくても顔に出てるよ。