3秒後、きみと恋がはじまる。
「茜くん、またね!」
手を振って、全速力で廊下を駆け抜けていると。
教室に向かっている先生たちに「こら、走るなー」なんて怒られてしまった。散々だ。
ガラガラっと自分の教室のドアを開けると、まだ登校してきていない人もいて、ぽつぽつと席が空いている。
うん、普通科はやっぱり落ち着くな。
「三好、遅刻だぞ」
またか、なんて眉をひそめる担任の先生に、「違うんです!」と机を指差す。
「荷物置いてあるでしょ!?早く来てたの!」
「ホームルームにいないのは遅刻と同じ」
一刀両断されてしまい、肩を落として椅子に座る。
と、前の席のユリがにやにや笑いながら振り返った。
「有村くんに挨拶しに行って遅刻ってアホすぎない?」
「だよね〜、ショック…」
茜くんにも、絶対アホな奴だって思われた。
ーー『バカな女、嫌いだから』
昨日の茜くんの冷たい表情を思い出して、さらにがっくりと肩を落とした。