3秒後、きみと恋がはじまる。
「三好ちゃんなら、あの冷徹な心も溶かせるかもしれない気がしてさ」
にっこり笑う要くんに、私もへらりと笑う。
「あ、あの……茜くん、要くんのことが好きってことは…」
ないですよね?と確認しようとして、恐る恐る聞いてみると、目を丸くした彼は、ワンテンポ遅れてから吹き出した。
「っ、はは!何それ、三好ちゃん面白いね」
いや、だってあまりにも女の子が嫌いそうだから。
…というか、私が鬱陶しいだけかもしれないけれど。
もうすぐ授業が始まるからと、要くんと手を振って別れて、教室に戻る。
毎日話しかけに行っているけれど、てんで相手にされない。
それどころか、どんどん嫌われている気がしてならない。
……茜くん、しつこい女の子とか嫌いそうだもんなぁ。
だけど茜くんは自分から私に話しかけたりなんてしてくれないから、しつこく話しかけないと接点すらなくなってしまうじゃないか。
「はぁー……どうしたらいいんだろう」
落ち込む私を、ユリとスミレが、
「大丈夫!誰も桃が王子と付き合えるなんて思ってないから!」
「そうそう、話せてるだけでもすごいよ!」
なんて、フォローしてくれているのかバカにしているのかわからない慰め方をしてくれた。