3秒後、きみと恋がはじまる。
朝、登校したらまず茜くんにおはようを言いに行って。
昼休み、一緒にご飯を食べませんか!と誘いに行って。
…まあ、いつも断られるけど。
放課後、バイバイって言いに行って。
…一緒に帰ろうという誘いは受けてもらったことがないけれど。
そんな生活を送っていたある日。
「一回も会えなかった……」
茜くんに会うために早起きしていた記録が途切れ、ついに寝坊してしまった私は朝の挨拶をしに行けなくて。
それから昼も、今日提出の数学のワークが終わっていなくてひたすらみんなで答えを写しあっていたから行けなくて。
帰りは、残りのワークを必死に終わらせて提出してから特進科に行ったら、茜くんはもう教室にいなかった。
一度も茜くんに会えないなんて、一度も喋れないなんて!
もう学校に来た意味がない!
その上スミレもユリももうワークを提出してしまっているから、先に帰ってしまった。
1人で帰るのも寂しい…。
色々と落ち込んでホームで帰りの電車を待ちながら、ため息を吐く。
…まあ、こういう日もあるよね。仕方ないよね。