【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


「で、でも……」

「平気ですってば、放っておいてください」



突き放すような言い方に、胸がちくりと痛む。

……自業自得、だ……。

何回もこんな……助けてもらうようなヘマをして……。


きっと、嫌われた……。


そう考えるだけで、視界が滲んだ。



「……ちゃっちゃと片付けましょう」

「あ……置いといてください……私、ひとりでするので……」



これ以上迷惑はかけられない。

涙を堪えて、落としてしまった本を拾った。



「上の方は届かないでしょう。またドジされても困るんで」



……和泉くん……。


声色は素っ気ないものだったけれど、黙って棚に本を直してくれる和泉くん。

やっぱり、優しいな……。


やっぱりーー……好き、だなぁ……。

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