【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


心配するように顔を覗き込んできた佐倉先輩に、私は首を振って否定した。



「いえ……!全然平気です!」



今日はドッと疲れたけれど、初日から弱音を吐いてなんていられない。

それに、私よりもみんなの方が、きっと疲れているだろう。



「健太くんも凄く丁寧に教えてくれるので……私も早くお役に立てるように、頑張ります!」

「……健太くん?」



え?

一体なにが引っかかったのか、佐倉先輩はぴくりと反応して、復唱するように健太くんの名前を零した。



「……」

「佐倉、先輩?……どうかしましたか?」

「いや……なにもないんだけど……ちょっと妬いちゃうな」



妬い、ちゃう?


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