嘘の続きは
「ね、帰ろ。私たちのうちに」

真島さんの腕をつんっと引っ張り立ち上がったけれど、真島さんはまだ衝撃を受けたままらしく立ち上がらない。

もう、仕方ないなあ。

彼の頬を両手で挟み込んで頬の唇ギリギリのところに一瞬軽くキスをしてパッと離れた。

ハッとした真島さんの顔が緩んでいくのがわかりやってしまった私の方が恥ずかしくなって頬が熱くなる。

「ね、早く帰ろう」

「そうだな。帰るか、俺たちの家に」

「うん」

立ち上がった真島さんの腕に自分の腕をしっかりと絡めて彼の顔を見上げる。

「ただ、まだ部屋の片づけが終わってないから段ボール箱が積んであるの、ごめんね?」

「もしかして」

「そう。もうアパート引き払っちゃったから。私の帰るところは真島さんと部屋しかないの。追い出さないでね?」

「追い出すはずないだろ」

真島さんの笑みが深くなり私の頬にちゅっとキスが落ちてきた。

ちょっと恥ずかしくてごまかすようにふふっと笑うと、
「やっとだ」
と真島さんの嬉しそうな声がした。

「夕飯がいらないときはわかった時点でいいから連絡してくれると嬉しい。時間がある時は一緒に朝ご飯が食べたい。真島さんの仕事が落ち着いてからでいいから一緒に旅行に行きたい。新婚旅行なんて新婚じゃなくていい。時期は拘らないから。それと、私も真島さんのこと、名前で呼びたい。それと、それと・・・もうプロポーズの言葉はいらないよ」

一気に自分の伝えたいことだけを一方的にまくし立てた。

驚いている英司さんの顔、ちょっとかわいいなんて思ってしまう。

< 162 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop