秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 しかし急に告白してOKをもらえるとも思えない。ここは少しずつ仲良くなっていくしかない。

 焦らず、ゆっくりと。

 卒業するまで、放課後に一緒に勉強することはできたが、俺たちが恋人同士になることはなかった。

 卒業したら告白する。

 そう決めたのに、高校という繋がりがなくなった瞬間、彼女は俺と会おうとしなかった。
 彼女の家だと言ったマンションの前で待ち伏せをしても、彼女の姿はない。
彼女の通う大学に行っても、人が多すぎて見つけられない。どうにかこうにか、友達伝いに会いたいと願っても、俺の周りに特進クラスの友人はいない。

 想いを伝えられないまま二年が経ち、同窓会でやっと再会を果たした。

 今度こそ、絶対に告白しよう。今伝えなければ、一生後悔する。

会場の中に彼女の姿を見つけたのに、友達の輪の中から抜け出すタイミングが見つからない。

 目を離している隙に帰ってしまった椎名さんを追いかける。ここ最近こんなに全速力で走ったことないほどに、急いで後を追った。

「……椎名さん。今度俺と一緒に食事に行ってくれないかな?」

地下鉄の改札の近くで、やっと追いつき話しかけることができた。

 焦るな、俺。

今告白しても、まだ受け入れてもらえない。ちゃんと誠実に、順序よく進めなければ。
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