秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
10.募る想い

天野さんは、十六階に住む入居者さまだ。
 細身の長身で、金髪で目が隠れるくらいまで前髪がある。その前髪の隙間から見える涼し気な目は私を見つめ、感情が読めない人。年齢は三十歳。

 会社勤めをしておらず、株やFXなどのデイトレードで生活をしている人らしく、一日中家にいらっしゃる。

 買い物や用事で家の外に出るのは週に2日くらいで、ほぼ家に籠っている人だ。その外出されるときに必ず声をかけてくるようになったのは、一ヵ月ほど前から。

 最初引っ越してこられたときは、私と目を合わそうとしなかったのに、少し前からじっと見つめられるようになった。

 コンシェルジュカウンター越しにじっと見つめてから、何も言わずに歩き出す。
 吟味するように私を見つめていく姿に戸惑っていたけれど、次第に慣れた私は笑顔で挨拶をするように心がけた。

 入居者さまに挨拶をするのは当然のこと。気持ちよく過ごしてもらえるように心がけないといけない。
 
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