マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
 
正直言うと、景子に話してもいいのか…話す直前までは悩んでいた。

リュウ君ママは私以外のみんなとは普通に連絡先を交換していたし、きっと今後もご近所同士の付き合いは避けられないだろうし。

それに…話してみた結果、心の狭い人間だな、なんて思われたらどうしようとか。
そんなことくらいで気にしてるの?と、自分の器の小ささに気付かされるかもしれないとか。

そんな不安が、私を躊躇わせた。
だけど、意を決して話してみた今は、そんな心配など全く必要なかったんだと気付かされた。


『っていうか、亜紀を通してじゃなく大ちゃんに頼ったリリカちゃんはもちろんアウトだけど、大ちゃんもダメだよね』

『…うん』

『いくら亜紀が病院連れて行ってあげてって言ったとしても、じゃあ亜紀も一緒に…とか、なんならうちの勇太を一緒にとかさ?いろんな選択肢があるんだから考えるべきじゃん?』


自分のことでもないのに明らかに怒った顔で話す景子の横顔は、私をホッと安心させてくれて。


『男って、そういうのわからないのかな?優先順位は家族一番、奥さんが一番じゃなきゃ、円満でなんかいられないのに。ね!?』


気持ちをわかってもらえた。
ただそれだけで、不安だった心が救われた気がした。
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