マリッジリング〜絶対に、渡さない〜


ただの同期だった私たちの関係が形を変えたのは、そんな日々が半年ほど続いた頃。
出会いからは、一年半が過ぎようとしていた頃だった。

会社では毎日顔を合わせ、いつしか休みの日も毎週のように一緒にいるようになっていたけれど。
私たちの関係性は手を繋いだこともない至ってクリーンな関係で。

それが若干物足りなく、モヤモヤした気持ちを抱えるようになっていた。

なんで毎日のように連絡を取り合うのか。
どうして休みの日も頻繁に一緒にいるのか。
私たちの関係は、一体なんなのか。
そんなことを毎晩眠りにつく前考えるようになっていたけれど…

そんな日々は、ある日突然終わりを迎えた。

休みだった日曜日。
その日も私たちは一緒にいて、映画を見たり、スペイン居酒屋に行ったり。
いつものように二人で過ごしていた。

だけどその日の帰り道。
スペイン居酒屋を出て街中を歩いていた時だった。


「あれ?大ちゃん!?」


そんな声と共に目の前で立ち止まった女性は、大地に駆け寄ってきたかと思ったら私のことをチラチラと見ながら話を始めた。


「久しぶりー!」
「おー!お久しぶりです!元気っすか?」
「うん、元気元気!っていうか、お隣は彼女さん?」
「えっ、や…か、彼女…ではない…っていうか、同僚…です」
「あはっ、だよねー!リホとは正反対な感じだしね」
「いや、それは関係ないでしょ」


そんな短い会話をして、すぐに立ち去っていった。

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