マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
『…ん』
翌朝、胸元でもぞもぞ動く感覚で目を覚ますと、寝ぼけた亜矢がいつものように私の上に乗っかっていた。
軽くて小さな体だけど、少しずつ大きくなっているのをふとした瞬間に感じる。
ちょっとだけ、重くなってきたかな?
寝返りをうちながら寝ている亜矢をお腹の上からそっとベッドにおろす。
そして隣に目を向けると、端で寝ていたはずの大地がいないことに気が付いた。
亜実はまだすやすやと眠っている。
二人を起こさないよう静かに寝室を出た私は、二階のトイレにも大地がいないことを確認してから階段を降りた。
『なんだもう起きたの!?』
物音がするリビングのドアを開けた直後、キッチンの方から聞こえてきたのは明るい大地の声だった。
『昨日遅かったし、たまにはゆっくり寝てて良かったのに』
『ふふっ、珍しく優しいじゃん』
言いながらキッチンに近づくと、何やら美味しそうな匂いが漂ってきた。
『何してるの?』
『ん?昨日みんなに優しい旦那だのいい旦那だのって褒めてもらったし?乗せられたら弱いタイプだから。朝メシ、作っとこうかなって』
大地はそう言うと、なんだか照れくさそうに笑う。