隣人はクールな同期でした。

――――コンコン。


ふと病室のドアをノックされ
思わず『煌月かな』とか思ってしまう。


だけど
入って来たのは陽向さん。


「今、大丈夫?」

「あ、はい…
 今日もすみません…」


どうしてアイツだと思ったんだろ。
待ってるワケじゃないのに…


「仕事が遅くなって
 こんな時間でごめんな?」

「そんな事ないです。
 ありがたいです」


いつもココに来るとき見るスーツ姿の彼。
仕事帰りに来てくれていて
疲れてるはずなのに申し訳ない。


「具合はどう?」

「はい、入院しているので
 おかげさまで…」


軽く会釈し『おかげさまで』なんて言ったけど
少し嘘をついた。

全然真逆なのに。


「そっか、それなら良かった」


そう言ってベッド横の椅子に腰掛ける陽向さん。
最近本当に毎日来てくれる。
気を使ってくれているんだろうね。


「仕事…忙しいですか?」

「セツナは気にしなくて大丈夫だから。
 それよりも早く治す事が優先。」

「はい…」


『アタシの居場所はありますか?』
そんな事、この人に聞けない…

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