扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「……」


〈コポコポ〉


なんだか歓迎されている感じにお茶が出てきた。


紅茶のいい匂いと甘いお菓子の香りがふわっと部屋全体に漂う。


(いい匂いがする)


とても美味しそうで落ち着く匂いだ。


「はい、どうぞ」


「あ、ありがとう。わあ、かわいい」


(フルーツタルトだ)


色んなフルーツが宝石のようにキラキラと光ってとても綺麗だ。


「それじゃあ食べようか」


「うん! 今日はフルーツタルトか、美味しそう。いただきまーす」


かわいい男の子が元気にお茶を頂く挨拶をする。


「アリスちゃんもどうぞ」


「あ、はい…いただきます」


やっぱり私のことは「アリス」で定着しているんだ。


というか、そもそもなぜアリスなのだろうか?


「あ…」


(おいしい♪)


見た目通りにとても美味しくて、フルーツやクリームや生地の色々な食感が口の中でたくさん広がった。


「どう? 口にあったかな?」


「あ、はい。おいしいです」


「よかった」


このおしゃれな部屋のせいなのか、ケーキが一段と美味しくて幸せに感じる。


普段からケーキにように甘くて平和だったらどれだけ幸せなんだろうなって思ってしまう。


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