ひと夏の恋をキミと
慌てて笑顔を作る。


ごめんね、愛美。
言えないんだ、本当の事は。


こんな重たい事
背負わせたくないから。



---あれはまだ桜が満開だったころ


私は16歳の誕生日を迎えたその日に
激しい頭痛と手のしびれを感じて
倒れた。


すぐに病院に運ばれ
検査の結果


「脳に腫瘍があります。」


お医者さんから聞かされたのは
ドラマみたいな一言だった。


「あの、腫瘍って…」


お母さんとお父さんは
信じられないと言った表情で
何度も間違いじゃないのか
先生に聞き直してたけど、


「お父さん、お母さん
残念ですが本当です。
すぐにでも治療を開始しなくては
危ない状況です…。」


だって。
< 3 / 268 >

この作品をシェア

pagetop