ひと夏の恋をキミと
私もその場で一緒に話を聞いてたけど
全然ピンと来なくて
他人事のように聞いていた。


お母さんよりも冷静だった
お父さんがお医者さんから
話を聞いていた。
もちろん私も隣に座って。


「姫奈さんの腫瘍は
大脳に出来ていて
良性ではなく、悪性の物です。」


「…だったらすぐに手術して、
そうすれば、治るんですよね?」


お父さんの質問に少し黙り込んだ先生は
悲しい表情を浮かべ
言葉を続けた。


「とても難しい手術になります。
周りにはたくさんの神経があって
そこを少しでも傷付けると
運動機能に問題が出たり
記憶に障害が残ってしまうという
後遺症が残る可能性が高いんです。」
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