【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「ん? どうかしましたか?」

男らしい唇だな、とじっくり観察していたが慌てて答える。

「あ、いえ。ごめんなさい。急に話し掛けられたから驚いてしまって」

実はその美しい顔をまじまじと見つめていましたとは言えず、適当にごまかした。

「すみません。でもあなたのその飲み方気になってしまって、つい声をかけてしまいました」

雰囲気からして年下には違いないけど、きちんとした話し方。

社内の年下の後輩とは違う。

わたしの苦手なノリの軽さもなく落ち着いた様子のおかげで、警戒心を持たなかった。

距離が近づき、ふっと顔をのぞき込まれた。ドキッとして瞬時に視線をそらせる。

ちょっと距離が近い……かも。

なんだか恥ずかしくなって、横に向けていた体を正面に戻す。
ちょっとあからさまだったかな、とも思ったけれど相手は気にしていないようなので、ほっとした。
ん? 別にただ隣で飲んでいる相手に、どう思われようと関係ないじゃない。

自分の気持ちがちょっと理解出来ずに、首をひねった。

「ここの店、酒も旨いけど、料理もなかなかいけるんですよ。
ひとりじゃ色々食べられないから、一緒に食べてもらえますか?」

「え、はい。いいですけど」

そんなに丁寧に言われた無碍にもできない。

わたしは自分に言い訳をして、彼と一緒にバーテンダーから差し出されたメニューを見た。

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