【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
土曜日の午後。
惰眠をむさぼっていたわたしにケイトからメッセージが来た。
夕方からデートをしようと。
急な誘いなんだから断ればいいのに、気がつけばわたしはシャワーを済ませ指定された待ち合わせ場所に向かっていた。
この一週間の間、ケイトのことについて嫌と言うほど考えた。
しかし簡単に答えが出るわけではない。けれど彼から連絡がきたとき「会いたい」という衝動にあらがえなかった。
カフェで軽くお茶を飲んだあと、今日こそは先に支払いをと思っていたのにさっさとケイトに支払われてしまう。
外に出るなりわたしはケイトの腕を引っ張った。
「毎回おごってもらってばっかりじゃ、悪いよ」
「別に俺がそうしたいからしてるだけだし、それに誘ったのは俺だから」
気にも留めない様子でスタスタ歩いていってしまう。
ほんの少し先を歩くケイトの背中を見て、いったいわたしたちの関係ってなんだろうか……なんて考えていたら、ケイトが急に走り出した。
「芽衣子さん、これやろう!」
彼が指さした先にはライトアップされたスケートリンクがある。
冬の間だけ特設されているようで、何組かのカップルや家族連れが滑っていた。
「いや、無理だよ。寒いし」
「動いてたらあったかくなるから。幸い芽衣子さんデニムだし。行こう」
「やだ、待って」
抵抗したところで、無駄だった。
彼はさっさとスケート靴を借りて手続きを済ませてしまっていた。