総長さんが甘やかしてくる③
「ミノルは、もう十分報いを受けた。自由にしてやれ」
「……僕は、アイツが大嫌いだね。もっとトラウマ植え付けてさ。自分から死にたくなるように仕向けたい。怯えながら。毎晩悪夢にうなされながら暮らせばいい」
「そんなことをしたら。霞が、悲しむ」
「……君がそれを言う?」
「そうだな。一番悲しませている人間が、言う台詞ではなかった」
「自覚あるのがタチ悪いよね」
「俺がミノルを救うのは。なによりアイツの兄に、夕烏が世話になってるからだ」
「……は?」
「それ以上の理由。存在しない」
ミノルのこと、信じていた。
信じたかった。
だけど俺はなにも見えていなかった。
裏切られ、傷つき。
それでもまた、新しい仲間と出会った。
愛する女が、できた。
「サトルさんのおかげで。夕烏は、幸せそうにしてやがるんだ。いきいきと働いて。やり甲斐を見出している。あの人の弟を救ってやる理由には。十分すぎると思わないか」
「……君、本当に変わったね」