総長さんが甘やかしてくる③
「えー……。いつから気づいてたの? 言ってよ」
「素直になれ」
「大切すぎて。なかなか。他の子になら、なんだって言えるのにな」
「もたもたしているうちに横取りされても知らねえからな」
「たしかに、かすみちゃんは死ぬほどかわいーから。うかうかしていられないけどさ。……君、そんなこと言うキャラだった?」
「ありがとうな」
「……!」
「俺のために。色々と」
「…………」
「来るかどうかは、お前の自由だ」
「重いよ、幻」
「腹が減ったな」
「たしかに」
「なんか食いに行くか」
「お姫様が待ってるんじゃないの」
「ああ。夕烏のこと、待たせてる」
「なんでさっき。抱きしめてあげなかったの。君を心配して、駆けつけてたんでしょ」
「夕烏に。羅刹のこと、かたをつけるまでは。抱かないと約束した」
「へえ。じゃあ今夜、やっとあの子を抱けるんだ?」
「いいや。今夜はお前といる」
「……そういうとこ。ズルいよね」
「そうか?」
「ときどき。わかんなくなる。自分が愛してるのは、かすみちゃんなのか。それとも――」