祈り









「なあ皆、キモいよな~?」

藤森の笑い声が聞こえる。
身体が固まった。

世界が終わったと思った。

「ごめんなさ……」
「そんなんでからかってさ、ウぜえよ」

眼を見開いてしまった。
顔を上げて、彼を見た。

彼は優しく微笑んでくれた。
私は涙を溜めていた。

「照れ隠しも恋の内だ~!」
「…………」

涙を堪えていた。
彼の優しさに、私は涙を堪えていた。

「な~?」
「…………」
「何よ、藤森もしゃしゃんじゃ……」

グループの一人が前に出てくる。
藤森はその子を睨んだ。
それはとても怖い眼だった。

私もあれを向けられていたと思うと怖い。
藤森は強い人なんだ……。

「うっせ~よっ!」
「は?」
「ハブんならハブればいいじゃん。俺はこれっぽっちも怖くね~よ?強いしな~?」

ケラケラ笑う彼は
どのモデルよりも
どの俳優よりも
何よりも
私には輝いて見えた。










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