誤道
私が4歳の頃。
両親の汗水垂らした貯金で、とうとう引越しが決まった。
引越し先は、母が働いていた会社の同僚が住むアパート。
一室空いているとのことだった。

同僚の方、シズミさん。
女性で、旦那さんとの間には2人の子がいる。
私の男三兄弟と歳が近く、名前は
マキ姉ちゃん、アキラ兄ちゃんと呼んでいた。

マキ姉ちゃんはとても面倒見が良く、実の姉より慕っていたかもしれない。
アキラ兄ちゃんは主に兄たちとしか遊ばないからか、クールなイメージだった。
でも話しかけているうちに、幼いながらの恋心が芽生えてたかもしれない。
これは未だに家族みんなにも言ってない秘密だ。

引越し当日。
シズミ家と一緒に大人達はもちろん、兄弟達も引越しの手伝いをしていた。
忙しそうにしてる父に
「私も何かしたい。」
と伝えた。
もちろん、小さい子だから作業が捗らない、怪我をさせられないといったこともあり、無いと言われた。
でも駄々をこねた上で貰えた仕事が、割れ物などを包装していたプチプチ。
プチプチをプチプチしててって。
(・・・これ、仕事?)なんて思うわけなく、喜んでプチプチ。
子供心をくすぐるプチプチ。
楽しくなって、雑巾を絞るように一気にプチプチプチプチプチプチ!!
一瞬で楽しいことが終わってしまった。
近くで休憩していたマキ姉ちゃん、アキラ兄ちゃんに話しかけた。
仕事ないかって聞くわけでなく、ただ単に遊んでーっと。
あとの作業は大人達がするみたいでお姉ちゃん達もすること無くなった。

それからというと、記憶がない。
たぶん引越し祝いをしたんだろうけど。
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