眠り姫
次に私が起きた時。

ここは、何処?

いつもの病室じゃない。

とりあえずナースコール押そう。

「コンコン」

準「綾、おはよう」

「おはようございます、ここは何処?」

準「無菌室。昨日、医師を綾の後につけさせたんだ。そしたら、綾がこの病院から逃げるって聞いてね」

えっ、昨日の話を聞かれていた?

「聞いてた?」

準「そう。だから、もう逃げられないように、無菌室に閉じ込めようとね」

「えっ?」

準「それじゃあ、お昼までバイバイ」

そう言って準先生はドアを閉めた。

勿論、

「ガチャ」

鍵を閉める音。

先生が外の電話を取った、

これ、知ってる。

私も電話を耳に。

準「ここは、母音生だから中の声は聞こえないよ」

その時、完全に絶望に落ちた。

そうだ、これが最も恐れていたこと。

準先生は電話を切った。

私はベッドの上に行って泣いた。

私はやっと蓮達に会って、感情を取り戻したいと思ったのに・・・

神様は不公平なんだ、
改めてそう感じた。

母音生の部屋に静かに響く、
少女の声を押し殺して泣く声。

それからと言うもの、
少女は再び完全に感情を失った。









無菌室に来て二週間。

何もやることがなく、暇だ。

「バン!」

勢いよく、私の部屋のドアが開いた。

「蓮?」

私のその時の声に感情はなくなっていた。

蓮「しけた声してんじゃねぇよ。待たせて悪かったな」

その時、再び涙が溢れた。

人生、良いことより、悪いことの方が多いかもしれない。

だけど、

時々良いことがあった方が喜びが大きいじゃない。

神様、本当にありがとう。
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