死席簿〜返事をしなければ即、死亡


「それでは、開票を行う!」


日直の和田カレンに、全員の名前を書かせた。


次に、名を呼ばれればその下に【正】を書き込んでいく。


あれだけ反対したくせに、楠木も誰かの名前を書いていた。


やはり口先だけだったか。


正義感ぶっていただけの、臆病者だ。


鼻で笑うと、日直の諸岡つとむに向かって一つ頷いた。


集めた投票用紙を読み上げさせるために。


顔色の悪い諸岡が、用紙を開いて書かれている名前を告げる。


ん?


思わず首を傾げた。


「水口智花」


それは予期せぬ名前だったからだ。


あまり目立たない水口は__後ろの席で机に伏せて、泣いているのか?


まぁ、いいだろう。


どうせ篠塚か矢井田あたりが、自分助かりたさに入れたに違いない。


諸岡が次の紙を開く__。


「水口智花」


2票だ。


続いて紙を開く。


「水口智花」


和田カレンが、水口の名前の下に正の文字を完成させていく。


早くも3票だ。


どうやら、水口智花が生贄に選ばれてしまったようだが?


「水口智花」


諸岡がその名を告げる。


これで4票。


あと2票で決定する。


もっと票が割れるのかと思ったが、これはこれで残酷な話だ。こいつらは全員、水口を売り渡して助かろうとしているのだからな。


「水口智花」




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