死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「今から【運】について考えてみたいと思う!」
今井は教室に入ってくるなり、俺たちの顔を見回す。
「ちょっと待って。てか、あたしたち助かったんじゃないの?生贄を差し出したんだからさ!」
篠塚有里華は、まだ諦めきれないようで抗議をする。
同じく矢井田ミキも立ち上がり言葉汚く喚(わめ)くが、今井は耳をほじくってろくに聞いていない。
「確かに先生は言った、生贄を差し出せば残りのものは助けてやるって」
「だったら守れよ!言ったことくらいちゃんと_」
「それは4限目の話だ。4限目は犠牲者が1人で、あとは助かっただろう?」
「意味わかんないんですけど‼︎」
怒りが冷めやらない篠塚だが、今井は涼しい顔で授業を進めていく。
いや、4限目が終わったから、本来なら今は給食の時間なのだが。
「誰しもが【運】を持っている。運が良いやつもいれば、不運に見舞われて命を落とすものもいるだろう。運というものは自分で掴み取るものだと先生は思う。それをこれから試してみよう」
そう言ってなにやら取り出したのは、丸いパン。
それとペットボトルの水。
「篠塚有里華、矢井田ミキ、和田カレン」
3人の名前が立て続けに呼ばれた。
それぞれが返事をする。
「お腹が空かないか?給食の時間にしようじゃないか」