死席簿〜返事をしなければ即、死亡


「危ない‼︎」


私が叫ぶが、知念さんは恐怖に支配されていて金縛りにあっている。


スタンガンが、ばりばりと音を立てて__。


【矢井田ミキ】


時が止まった。


全員が、息すら忘れたように動きを止めた。


「__はい」


食いしばった歯の間から、悔しげな返事が漏れる。


そして矢井田さんは、ぎろっと私に首を向けた。


【矢井田ミキ】


「はい」


【矢井田ミキ】


「はい」


一歩ずつ、返事をしながら、矢井田さんが近づいてくる。


【矢井田ミキ】


どれだけスマホをタップしても、距離は狭まるだけ。


完全に私に狙いを定めた矢井田さんが、にんまりと笑った。


「はい」


ばりっ。


スタンガンが、目の前で音を立てる。


【矢井田ミキ】


名前を呼ぶ弱々しい声が聞こえた途端、手を払われてスマホが飛んでいった。


「はい!」


腹の底から返事をした矢井田さんに肩をつかまれ、そのまま押し倒された。


「や、やめて!」


「私が勝つのよ!」


腹の上に股がられ、スタンガンを押し付けられる。


ばりっ。


耳元で音がした。


だめだ。


このままじゃ。


このままじゃ__。


< 198 / 221 >

この作品をシェア

pagetop